人工流れ星計画への期待と懸念(2018/04時点版)
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某社が計画している人工流れ星計画への期待と懸念を述べた連続ツイートのまとめ。 半年経過していますが同じ懸念は持ち続けています。
note記事にミラーつくりました。 2018年4月以降の動きに関しては反映できていません。
2017年11月におこなったツイート
人工流れ星プロジェクトは、宇宙開発の技術革新を早めるためのsandbox作りの契機となりうる
書くぞ書くぞといって書かないままになるのもアレなので連ツイで流れ星計画への懸念と期待をこれから書くよ。気が向いたら並べて清書するかも。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
人工流れ星計画への期待と懸念…この計画、適切にやれば宇宙の技術革新の速度を上げて人類の宇宙開発の歴史を50年取り戻せる、でも妙な失敗すると100年送らせるプロジェクトだと思っていて、50年時計を進めたいという主張をしていたのが理解されず出てきたという次第です
— garmy (@garmy) November 20, 2017
なぜ50年進められると考えたか。宇宙開発はライフサイクル長い使い方ばかりされるので、地上で進む技術革新に追いつきにくいし、そもそも「作っては壊して新しいの試して」という、新技術を開発したい人にとって魅力が低い場となっていて、正直「未来は暗い」と考えておりました。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
ロケット安くなれば技術革新が~という論はよく聞きますが、Falcon9が価格破壊してもまだ宇宙開発は活性化してません。それは、今でも「宇宙にあげるものは固い設計をしてくれ」という制約があるからです。そりゃそうで、衛星がチャレンジ枠か否かにかかわらずゴミとして溜まると困るわけで。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
だとすると、本当の問題は「シミュレーション環境ではなく実環境にsandboxが存在しないこと」なのではないか、と考えた訳です。実際、高度400km以下で加減速しない衛星であれば、2,3年で大気圏落下しますしISSにも干渉しないわけで、sandbox領域と認めて貰えれば…と。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
しかし、そんな発想はすでにあるのに、なぜISS放出のcubesatが練習台ばかりなのか。それこそ、「ライフサイクルが長い使い方」しかなくて投資回収が出来ないからなんですよね。短期間で付加価値を稼ぎまくれ、むしろ短寿命で退場する方が嬉しいみたいな低軌道の衛星を使ったビジネス、と。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
人工流れ星は、流れ星の素を打ち切った時点で売上を全部立てられます。打ち止めになったら衛星はお荷物ですからさっさと退場させて、その軌道に代替の衛星を載せたい。そんな衛星にはテスト機能も載せようぜ、と、どんどん代替わりさせることがビジネスの成功にも宇宙開発の活性化にも繋がる。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
じゃあホントにビジネスになるの?という観点については、桁違いのリーチの広さはイベントになるぜ!って発想をCMOが持ち込んでクライアントも見つけてくれて、そういう「世界初」銘柄であれば投資家が投資する意味もあるよねってことでCEOがお金も集めてきて。万々歳に見える。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
(ちなみにビジネス経験からみて、これはこれでなかなか上手い作りで、そこは心配いらないです。というかその点は他の宇宙スタートアップも啓発して回ってよい)
— garmy (@garmy) November 20, 2017
ただし、正しいsandboxを作らないとより世の中を保守的にしてしまう
ちなみに、sandboxがほんとにsandboxだぜ!と思って貰うためには「こんなにトンデモな案件でもOKなんだ…」という事例が必要で、それこそ「宇宙で物体放出」なんて今まで宇宙ではタブーと思われることって、sandbox案件としてもっとも適切だと思うわけです。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
じゃあ何が懸念なのさ、というところで「100年宇宙開発を遅らせるリスク」の説明が出てくるわけで。それこそ、「他の衛星と衝突しないようにコントロールして物体を放出する」技術って、精度が上がれば上がるほど「他の衛星に当てる技術」に近づいて、もろ軍事技術になっていってしまう。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
(この点は、海外のさまざまな方とパイプがある方にも、海外の識者からも具体的な懸念があったと聞いていました)
— garmy (@garmy) November 20, 2017
ついでに言うなら、流れ星の素が入った状態で分解なんかしたらデブリバラマキ衛星になってしまう。「弾詰まりはしてもよいけど誤射も破裂も絶対起こすな、デブリと衝突してもデブリをばらまく破壊はされるな」という点では固い設計が求められてしまう。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
精度が低すぎると事故るかもしれないし見たい場所に流れ星が流れない。精度が高すぎると軍事技術ではないかと懸念され、場合によっては「宇宙を軍事利用したい国家や組織」が無法行為をする根拠にもされうる。でも壊れない設計の必要がある。「ほどほどの技術で進化を止める」べきだと考えた。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
また、そういう技術のバランスって、技術自体よりは「手続き論」がよい説明になる場合があって、それこそバカ丁寧な情報開示をできる組織でないと物体放出はまかり成らん、というやり方で、ならず者の参入を排除しつつ、善良な技術者の実験場を作れないか(これはビジネス上の競合優位にもなる)
— garmy (@garmy) November 20, 2017
安全性の観点での情報開示は、それこそ流れ星の起動を精密に開示する、みたいなもので、手続き書類も沢山つくる感じにする。でも、専門家が示す軌道が公開されても地上からの見え方は大半の人には分からないから、分かりやすい情報提供のビジネス的価値は損なわれない。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
そして、そういう「情報開示がしっかりしている」という組織の条件として、そもそもガバナンスとコンプライアンスがキッチリしていて、労務管理とかもしっかりして、偽装請負に見えるような個人への業務委託なんかもしません!といったお堅い側面もある会社でないといかん、としたかった。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
なんで「ならず者が宇宙を好きにしてしまう」と懸念したのか。それこそ関わる前後に読んだ、オービタル・クラウドからの着想です。読んでみれば分かりますが、ならず者が宇宙を好きにしようとするのを、立ち振る舞いが気持ち良い人たちが防ぐお話し。これ読んでて頭の中で全部繋がった。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
こういうことを考えて働いてたし、日本SF大会で先生ご本人に応援されたのもあって、こわーいお役所に行くのも「正々堂々と正確にやっていることを伝えて理解を得る」という、あるべき姿を体現しようとしていた、でもそれを理解しようともされず。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
※のちに情報公開請求したら打上2日前に許可だしてて、なんだかなぁ…と思った…
内閣府的にどういう許可をだしたのかは気になっています(JAXA的には「宇宙活動法にもとづく許可が出れば載せる」と処理した)
— garmy (@garmy) January 18, 2019
本件亀レスですが、内閣府に情報公開請求をし、(一部不開示を含め)開示がなされ、実際のブツを今日手元に受け取ることができました、とご報告。これから、内閣府がどういう考えをしていたのかを読み解いていく予定です(不開示も多いのですがページ全体黒塗りとはならなかったので一端は分かりそう) pic.twitter.com/LxGD0BrOFc
— garmy (@garmy) June 7, 2019
この週末時間がとれて、申請書に添付された書類ごとの枚数やフォーマットなどをちょっと整理できました(手メモでですが)。中身は結構真っ黒ですが、日付とか枚数とか行数みたいな雰囲気はつかめそうで、月末くらいまでにはなにか書けるかなぁ…(画像は分かりやすい部分、打上2日前の許可… pic.twitter.com/IyLLerGqDu
— garmy (@garmy) June 16, 2019
私の不安と、関係各種公的機関への願い
なので、誇大妄想だとは思ってはいますが、もし彼らの衛星が破裂したらどうしよう、ルーズな運用してしまったらどうしよう、そんなことして宇宙開発の脚を引っ張ることをしたらどうしよう…と思い続けて、情報開示された図面とか見て(´・ω・`)と思ったりしてその誇大妄想が消えず今日に至ります。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
なので、宇宙クラスタもそうですが、各種公的機関(日本に限らず)におかれましては、少しでも疑義が残っている状態では打上を認めないよう、切に願うものであります。大丈夫、CEOは死ぬまで諦めないひとだから多少のびたところで困らないはずです。周囲の人がどうかはしらんけどさ。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
(なので頼むから特別公開の時のポスターで見えてたタンク丸出しとかそういうデザインやめとくれ…理論上は事足りるのかも知れないが、そこは過剰なほどやって見せる方がよいと思うのですよ)
— garmy (@garmy) November 20, 2017
懸念の話は以上。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
「サイエンスをビジネスにする」と言われている件への不満
それとは別にもう1個、「サイエンスをビジネスにする」と言われている件、「本来サイエンスは知的娯楽であり、サイエンスを正しく見せることをお金にする」のは賛成だしやりたいことですが、今の流れは、「単なる特殊効果屋さんというビジネス」をやりたいだけになってる気がする。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
特殊効果屋でもサイエンスの発展には寄与するかもしれない(花火⇒炎色反応の理解、みたいな)。でも、それってサイエンスがオマケでついてくるだけで今までにもあったよね。ホントに「サイエンス自体を面白いと思って、理解することにもお金を払って貰う」のだとしたら、もっと立ち振る舞いは変わる…
— garmy (@garmy) November 20, 2017
なんか、遠くの理想に向けて着実にfactを積み上げていくという「科学」や「技術」の営みへの敬意とか心酔とかから、理想を追い求めるために参加した私には、そのズレは辛かったよね。その上、オービタル・クラウドはCEOもCMOも読んでくれなかった。あーしんど。
— garmy (@garmy) November 20, 2017
追加情報への反応
記者への「安全性」の説明が…
なぜかデジタルヘルスに配信された記事の印刷ボタンを押すと記事が読める(というか、こういう安全性の記事は無料で読めるような依頼ができかったものかねぇ?) // 人工流れ星、狙い通り光るのは「日本の技術のおかげ」 https://t.co/PuwSnkO53a
— garmy (@garmy) November 28, 2017
ちなみに大事なのは「止めるときに止められる完全性」ことであって、 "各システムを全て3重冗長構成としており、2つまでが故障しても動作する" と表現されると「打ちたいとき打てる可用性」のことなのか完全性なのか分からない。そこを深く記者に伝えてこそ…と思うのだが
— garmy (@garmy) November 28, 2017
一応、衛星のタンクはカバーしてくれたようだ
記事掲載のツイート遅いなぁ、秋山先生のfacebookでの共有の方がはやいで…と思いつつ、中にある提供画像での衛星CG、タンクをカバーする形に直したように見えてホッとしているところ https://t.co/WKayvICrF2
— garmy (@garmy) January 10, 2018
@Kedrskie @kazubachev 一応その後の記事でチラ見せしてる衛星画像ではタンクにカバーしてるので、少しは安全審査が機能してるようです(が、今度はスラスタ積むとか言ってて、リスク増えるやん!と思ってる) // 宇宙大競争時代(上)衛星や月探査 民主導へ:日本経済新聞https://t.co/24lz63qa6u
— garmy (@garmy) March 18, 2018